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産地情報

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2020年12月21日

正月の味!鐘崎かずのこ「ノウサバ 」

今年ももう終わりに近づいていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか?大掃除など、新年を迎える準備を始めている方も多いのかなと思います。鐘崎では正月に向け、「ノウサバ」の製造がピークを迎えています。

ノウサバは、宗像市鐘崎地区周辺でのみ限定的に食べられる、正月の郷土料理です。ノウサバという名前から当然サバなのかと思いきや、その正体は「ホシザメ」というサメ。冬になるとフグを獲るためのはえ縄漁が行われますが、はえ縄の外道(=狙っていない魚)として獲れるのがこのホシザメ。鐘崎でははえ縄漁のことを「のう」と呼んでいて、「のうで獲れるさめ」「のうさめ」が時代とともに変化して「のうさば」になったとか‥‥諸説あります。

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鐘崎でノウサバといえばホシザメ自体のことに加え、ホシザメを干物にしたあと短冊状に刻み、甘辛い汁に漬け込んだ料理(↑写真)のことを指します。北海の魚、ニシンの子である正月の「かずのこ」は九州では獲れませんので、その代用品として作られたものだと言われ、そのために別名は「鐘崎かずのこ」。食感はまるで違いますが、確かに味付けは少し似ているかも‥‥?といってもノウサバは家庭料理なので家ごとに味付けは違うそう。一番スタンダードなのは「しょうゆ・みりん・酒」の味付け。

秋が深まるとホシザメの背開きを軒下で寒ざらしにしている様子がよく見られ、鐘崎の冬の風物詩となっています。エイリアンみたいでちょっと不気味です。

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ホシザメは鋭い歯を持たず、当センターのタッチングプールにもたまに入れられ、やんちゃなお子様方から散々撫で繰り回されても(‥‥)じっとしているくらい、おとなしい性格のサメ。

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福岡では鐘崎以外でも「モダマ」という名前で魚売り場によく並びます。モダマとはホシザメを湯引き(=お湯でさっと茹でる)したもののことで、酢みそをつけて食べるのが一般的。食用にされるサメの仲間はたくさんいますが、中でもホシザメは一番おいしいとの噂なんですよ。

さて、ノウサバの製造工程を見ていきましょう。

こちら、寒くて乾燥していて風の強い日を選んで数週間天日干ししたホシザメ(腹側)。カチカチです。ちょっとだけ普通の魚と違ったにおいがしましたが、臭みはありません。

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このカチカチになった干しホシザメをさっと湯がきます。

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湯がいたら、熱いうちに皮にブラシを当て、鮫肌をこそぎ落としていきます。これは熱いうちにしかできない作業。熱した鮫肌は、軍手を付けた手でこするだけでも落ちるくらい柔らかくなります。皮の処理を終えたら切り身を水で洗ってから冷水につけ、身を締めます。

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身が締まったら、短冊状に切っていきます。茹でたといってもまだ硬さがあるので、はさみで一切れずつ!

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切り終えたら、自家製の漬け汁をひたひたになるまで注いで完成!先ほど漬け汁は「しょうゆ・みりん・酒」がスタンダードだと書きましたが、今回作業を見せていただいた明神丸さんはだしを効かせた薄めの味付けに、隠し味としてだいだいを絞り入れてさっぱりとした仕上がりにしているそう。味がムラなく染みるよう注意しながら2日ほど漬けたら、パックに小分けして冷凍出荷します。

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二日間漬けたものを食べさせていただきましたが、サメ特有の臭みは全くありませんでした。食感は魚のジャーキー?厚切りのするめ?のような感じで、歯ごたえがあっておいしい!作るのにかなり手間がかかるため、最近では鐘崎でも作る家庭が減ってきているらしく、加工所は大忙しのようでした。

お忙しい中加工風景を見せていただいた明神丸さんのHPはこちら(外部サイト)

ホシザメ(背側)。鮫肌でざらざらです
ホシザメ(背側)。鮫肌でざらざらです
明神丸水産の直売所で購入できます
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